ある経営誌の連載で元トリンプ・インターナショナルの吉越浩一郎さんのコラムが目を引いた。

「事業計画なんて要らない。とにかく実行あるのみ」というタイトルで、事業計画不要論を展開しているのである。その趣旨をまとめると以下の通り。

1、計画は立てた瞬間から現実とかい離している
2、計画に縛られてしまい達成のために無理が生じる
3、計画に縛られてしまい打つ手が遅れる

計画を立てるヒマがあるなら、小さな事でも良いからすぐに実行する、日々の仕事に全力を尽くすことが大切。要は 「計画を必要以上に重視すると経営がおかしくなる。」という意見なのだ。

吉越さんのことは、「ムダな仕事はもう、やめよう!」という書籍で知り、非常に感銘を受けたので、注意深く意見の真意を考えてみた。

そもそも経営計画は、
1、現状認識
2、目標の明確化
3、実行プロセス
4、結果の評価指標
の4つをメンバー間で「共有化」するためのツールである。

簡単に言えば、今この会社は「どこにいるのか?」「どこに向かっているのか?」「どんな方法で向かうのか?」「どれだけ進んだのか?」という情報を見える化する。

これらが「不要」と言いきってしまうのは一見乱暴な考え方に映る。しかし吉越さんが言いたいことは、それらを常に考え共有化されている状況を作れば、いちいち時間をかけて作成する必要なんかない。目的地への行き方は常に変化するので、その都度、素早く対応することの方がよほど大切なのに、作った計画に縛られて後れを取っている企業の方が多いということではないだろうか?

また目標については「前年実績を目標に頑張るで十分」と言いきっている。 19年連続増収増益を成し遂げた経営者の発言とは思えない言葉だが、その事より日々の業務を効率化し、商品の品質を高めるのが本当の仕事でしょという考え方があるのかもしれない。

ところが同じ経営誌の中に、エーワン精密の梅原勝彦相談役のコラムに「むこう5年間の経営計画をつくれ」とある。数字をおろそかにして潰れた会社をいくつも見てきた経験からだ。

どちらも一理あり。こうなると、もう自分の考えで決めるしかない。

私の結論は、「経営計画は必要だ」です。目標なきところに計画なし。計画なきところに実行なし。多くの人が関わる組織運営において、意識の共有化は非常に重要です。経営計画書を、実行手引書として捉えるのではなく、メンバーと意識を共有化するためのものと考えれば、その意義は大きく広がる。ただし、吉越さんが考える経営計画のデメリットについては、大きな教訓として心得ておく必要がある。経営は日々の意思決定の集積によって成り立つという事を忘れてはならない。


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