【ビジネスとしてのデザイン思考】
ビジネスにおけるデザイン思考の役割が「イノベーション」であることに異論をはさむ必要はないでしょう。そこでイノベーションとは何かについて触れておきます。世界的社会生態学者のピータードラッカーは、企業の目的は「顧客の創造と維持」であり、それを実現するために必要な2つの機能は「マーケティング」と「イノベーション」であると説いています。そしてイノベーションとは、「新しい価値を創造し、顧客、または社会に提供する事」と定義しています。

では、どのような企業がイノベーションを起こすのか?ピータードラッカーはこう続けます。

「イノベーションに優れた企業は、イノベーションのための活動を厳しく管理する。創造性などという言葉を口にすることはない。創造性とは、イノベーションを行なわなければならない企業が使う中身のない言葉である。」

これはまさに「イノベーションの日常化」に他なりません。必要なのはそれを許容する組織であり、環境であり、風土であり、評価です。それらを厳しく管理していれば、イノベーションが無意識のうちに繰り返される企業になりえるというのです。

「新しい価値を創造し、顧客、または社会に提供する活動を日常化すること」

これがビジネスにおけるデザイン思考の明確な目的なのです。

【なぜ「デザイン」思考なのか?】
デザイン思考の本質は「イノベーションの日常化」であり、その目的は、「新しい価値を創造し、顧客、または社会に提供する活動を日常化すること」であることは、前項で述べた通りです。

では、デザイン思考という概念になぜ「デザイン」という言葉が用いられたのでしょうか?本質や目的からすれば「イノベーション思考」がもっとも適したタイトルであるはずです。ここであえて「デザイン」という言葉を用いたのには明確な理由があります。

そもそもこの言葉を提唱したIDEO(アイディオ)は世界的なデザイン会社であり、デザイナーによる発想力や創造性を価値としています。そして、様々なものを生み出すそのクリエイティブワークをつぶさに観察した結果、デザイナー特有の思考プロセスがあることに気づき、それを体系化したのが「デザイン思考」なのです。

そういう意味で「デザイン思考」は単なる考え方ではなく、明確なメソッドであることが解ります。トム・ケリーがその著書で「デザイン思考とは、イノベーションを日常的に行うための方法論のひとつだ。」と述べているのには、「誰でも手にすることができる」という明確なメッセージがあるのです。

間違ってはいけないのは、デザイナー特有のプロセスだからといって「デザイン思考=右脳的な直感や才能ではない」という点です。デザイン思考では、あくまでも「分析的な考え」と「直観的な考え」をバランスよくMIXさせることが求められており、個人の才能やスキルではなく、チームとしての創造性が大きなテーマとなっています。

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