「攻撃は最大の防御」という格言がある。

元々は、戦争に関する格言で「防御なくして攻撃なし」というドイツ軍人の言葉が、後の総理大臣「山縣有朋」が、知ってか知らぬか誤訳してしまったものが広まったと言われている。

「防御なくして攻撃なし」と「攻撃は最大の防御」は似て非なるものである。この両者を経営的な視点において、どちらを正しい格言として捉えるのか?を考察してみたい。

まず、「攻めの経営」とはどのような経営であろうか?一般的には「積極投資」である。新商品開発、新市場への進出、店舗出店、異業種への参入など、スピーディーに展開し、市場シェアを拡大する経営と言える。

方や「守りの経営」は、投資を控え内部留保を増やし、人財を育成し、定着率を高め、人や仕組みの成長と共にゆっくりと手堅く展開する経営である。

この考え方を、先の格言に果てはめてみる。

「防御なくして攻撃なし」・・・強固な基盤がなければ積極投資などできない。組織は内部から崩壊すると言われる通り、まずは地盤固めが重要なのは言うまでもない。

「攻撃は最大の防御」・・・もたもたしていては、どんどん状況は悪化する。積極投資によるスピーディーな展開こそが自社を強くし結果として地盤を固めるのである。

いずれも一理あり。これを見て皆さんはどちらを信奉するだろうか?

もちろん、その会社のステージや状況によって選ぶ戦略は異なることは言うまでもない。まさに「風林火山」である。

この2者択一を論破している書籍がある。「ビジョナリー・カンパニー」である。ここでは「andの才能」という言葉で表現されている。偉大な企業は「orの抑圧」をはねのけて、見事にそれを両立させるのである。

「攻撃も防御も」。この壮大なテーマに望むことこそが経営なのかもしれない。


コメント&トラックバック

  1. 青人 Reply

    初めまして、青人と申します。
    「攻撃は最大の防御なり」についての諸氏のお考えを検索するうちにここへたどり着きました。私は経営者ではなく、この格言に普遍的・実践的な意味があるならば知りたいと純然と考える一般人です。

    高畑社長の説をかなり乱暴に要約すると
    1)”防御”とは組織運営
    2)”攻撃”とは営業
    となるのでしょうか。

    そもそも組織運営と営業は明確に分けられるものなのかという点はさておき、私が感じたことを書きます。

    攻撃も防御も対外(対人)における概念だと感じています。そうだとすれば、攻撃も防御も(経営ということでいえば)営業の2側面であるように感じます。
    それに則った上でのお話なのですが、日々実践の場に身を置かれる高畑社長からご覧になって「攻撃的な営業は、営業損失を最小に食い止める有効手段である」(←格言を営業的視点から意訳するとこうねるのでしょうか)といえるのでしょうか。

    不躾ではありますが、よきアドバイスをいただければ幸いです。

  2. 高畑欽哉 Reply

    コメントありがとうございます。

    まず、攻撃=営業とはなりません。

    攻撃をマーケティングと考えた場合、ピータードラッカー曰くマーケティングの意義は「営業を無くす
    る事」ですので、営業とは対概念となります。

    マーケティングとは、顧客に自ら購買行動を起こさせるために、製品、価格、宣伝広告、購入ルート、提供方法、販売員、物理的接触体験などを最適化することで、意図して他社との差別化、異質化を図る活動です。

    従いまして、ここでの攻撃とは「顧客に対する活動」を指します。

    方やマネジメントの定義は「働く人を幸せにするもの」であり、その対象は「人と仕事」です。

    つまり、「組織に対する活動」と言えます。

    それらを踏まえてもう一度読んでみて頂ければと思います。


    なお、「攻撃的な営業は、営業損失を最小に食い止める有効手段である」についてですが、答えはNO!です。

    営業活動は非効率を前提とした顧客との関係強化活動です。営業の本質は農耕型経営を実現する事だと私は思います。

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