「24時間戦えますか?」。ご存知の方も多いであろうこのフレーズは1990年代前後に放送された栄養ドリンク「Regain(リゲイン)」のCMソングの一節である。バブル経済絶頂の頃、世界で活躍するビジネスパーソンの応援歌として大いに取りざたされた。このコピーは決してネガティブなイメージではなく、逆に誇らしいと言えるほどの熱気があった。まさに時代の一幕を表した名コピーである。

しかし現在では、このようなコピーがマスメディアで使用されることはまずないだろう。ブラック企業なる言葉が生まれ、社会に対してのみならず、社内環境においても厳しくコンプライアンスが求められる現代において、「24時間働きますか?」などというコピーが許されるはずもない。

過去、日本の終身雇用をベースとした大家族主義は世界でも賞賛された経営のあり方だった。会社は経済成長の名のもとに定期昇給、終身雇用を担保し、従業員はその成長のために働き成果を上げ続けてきた。大手に至っては企業年金で老後の面倒まで見ると言うのだから、お互いが信頼関係で結ばれるに至る十分なシステムがあった。

しかしそれらの良さはバブル崩壊によってキレイさっぱり失われ、ただの過労働のみが残ったのが現在の企業の姿のように思えてならない。日本は猛烈に働くことで世界2位の経済大国にのし上がり、その結果生まれた圧倒的な生産性の低さによって世界から取り残されようとしている。

ではどうすれば日本は再び世界の中でリーダーシップを発揮できる存在になり得るのだろうか?それは価値観の変容によってしかなされないだろう。

まず初めにしなければならないのは「経済大国」という誤ったレッテルを直ちにひっぺがし、「資源の乏しい小国」であるという認識を持つべきである。日本が置かれている状況は極めて劣性である。過去の成功体験を直ちに捨て、弱者である現状を強く認識しなければならない。

次に、成功の定義を大きく塗り替えることである。経済成長やGDPなどに惑わされてはならない。日本という国が再び世界で尊敬される存在となるために、豊かさを量ではなく質によってはかる独自の指標を世界に打ち出すことである。その指標こそが目標となり、明日への活力を生むのではないだろうか?

とは言え、経営者は政治家ではない。自らの会社を少しでも理想に近づけ祖国に貢献しなければならない。再び誇らしいと思える名コピーが誕生するのを楽しみにしながら、日々の経営に精進することとしよう。


コメント&トラックバック

  1. 岡野勝志 Reply

    己の身の程を再認識すること。幸福や成功の中身をよく考えて再定義すること。こういう視点が国民にも経営者にも欠落しているのが問題ですね。
    世界でリーダーシップをとるためには……いや、仮にリーダーになれなくても、キラリと光ってつねに注目される存在になるためには、固有の文化芸術風土に根ざすことと、あとは言語力でしょう。思想や思考の骨組みは言語に集約されますからね。

    • 高畑 欽哉 Reply

      岡野先生、ありがとうございます!日本人は、漢字、ひらがな、カタカナなど様々な文字を使いますが、なぜか主義主張を言語化するのが苦手な人が多いように思います。

      白黒つけるのが苦手な風土は、グローバル社会では通用しないので、少々の矛盾は看過して思い切って持論を主張する事が必要なのかもしれませんね。

  2. まるおくん Reply

    振り返ってみると、予期せぬ方向に時代は変化するものですね!しかし…。それも必然であり、受け入れなければ成らない事実です。量より質が日本復活の鍵となることは間違いないでしょう! だからキャッチコピーも 1秒にどれだけ命を懸けれるか? なんて感じになるのかな?

    • 高畑 欽哉 Reply

      まるおくん、どうもです!どれだけ変化に対応するかが経営の醍醐味ですもんね!

      量と質に関してですが、仕事に関して言えば「質」には「量」が必要です。圧倒的な「量」が「質」を担保すると私は思っています。

      ただ豊かさに関しては、量が無くても感じる事ができるものではないかと思います。マズローの欲求階層説が正しければ、日本人は随分昔に自己実現人になっていなければなりませんが、残念ながらそうはなっていません。

      「豊かさは量によっては図れない」という現実をどう理解するかがポイントのような気がします。

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