デザイン思考7 STEP3「創造」

【創造性の窓を全開にする】
共感によって拡がった可能性を、問題定義によってひとつの問いや目的に集約したら、その次は再び拡散のステージに移ります。どうすればそれを実現できるか?問題解決のアイデアをこれでもかと抽出していきます。

ここでのポイントは、「正解を探さないこと」です。あらゆる可能性を求めチームメンバーからありとあらゆる視点、アイデアを引き出すのです。またアイデアは何もない所からは生まれません。すでにあるものを誰も気が付かなかった方法で切り離したり、くっつけたり、ひっくり返したりしながら、ありきたりのアイデアを非常識なアイデアに変えていくのです。

【制約があるからクリエイティブになれる】
クリエイティブワークをしていると面白いことに気づかされます。それは制約がある方がアイデアは研ぎ澄まされるということです。仕事における三大制約と言えば「コスト」「納期」「品質」です。これらが無尽蔵にあると仮定した場合、残念なことに人は創造性を失ってしまいます。逆に、「いつまでに、これくらいのコストで、この品質のものを」というハードルが高ければ高いほど、人の脳は活性化します。

特に「時間」。与えられた時間の中で何かをしようとすれば、必然的にコストも品質も限界があります。これに関しては、広告クリエーターの書籍などをみれば良く分かります。ほぼ全員が口をそろえて、仕事において最も大切なものは何かという問いに「納期」と答えています。つまり、時間という制約がクリエイティブワークにおける重要なポイントなのです。

この理由は、「捨てる」という発想にあります。「もう少し時間があればアイデアが・・・」は通用しません。与えられた時間の中でアウトプットしたものがすべて。それが府に落ちれば不要なものを捨て、本当に大切な部分だけを残すことができるのです。そこにイノベーションの種が隠されているのです。

【バグ・リストがチームを救う】
では、限られた時間を活かすためにやるべきことは何か?それはいかに準備をしておくかです。IDEO創業者の弟トム・ケリーが執筆した「発想する会社」の中で「バグ・リスト」なるものが紹介されています。これは日常生活の中で気が付いた問題を書き留めておくものです。例えば、両手がふさがった状態でドアを開けなければいけない場面に出くわしたらそれを書き留めておくのです。「どうすれば両手を使わずにドアを開けられるか?」。

こうした日々の気づきや問題解決の習慣がいざという時に力を発揮します。イノベーションを日常化するデザイン思考は、その習慣が創りだすものなのです。

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デザイン思考6 STEP2「問題定義」

【情報を集約し正しい問いを導き出す】
共感のステージよって集められた情報を理解し、顧客が真に解決したい問題は何かを明らかにするのが問題定義です。共感が拡散のステージだとすれば問題定義は集約です。幅広く得た情報をカテゴライズし、分析し、顧客が気づいていないニーズに辿り着くことが目的です。

そのために重要なことが、「正しい問いは何か?」にフォーカスすることです。例えば、宝酒造の「澪(みお)」のエピソードが興味深いです。若者の日本酒離れが進む中、20代から30代の男女がほんのり甘い低アルコールのチューハイを好んで飲んでいることに目を向けて、そのニーズにマッチした商品を開発しました。それが「澪(みお)」です。

もし開発者が「なぜ若者は日本酒を飲まないのか?」と問いかけていたらこの商品は生まれなかったかもしれません。「若者は今、どんなお酒を好んで飲んでいるのか?」に真摯に向き合い日本酒の方を変えてしまったのですから、とても大胆なイノベーションだったと言えます。

【問題の枠組みを捉えなおす】
問題定義のポイントは、「問題の枠組みを捉えなおす」ことです。

「ハーバード・ビジネス・スクール教授のセオドア・レビットは、「人々は4分の1インチ径のドリルが買いたいのではない。4分の1インチ径の穴を開けたいのだ!」と述べた。」(引用:クリエイティブマインドセットより)

穴を開ける方法はドリルだけではありません。更に「なぜ穴を開けなければならないのか?」を問えば、その穴さえ不要になるかもしれません。正しく問題を定義することで、その解決方法はより創造的な答えに辿り着くことになるのです。

問題定義が正しく行われれば、その後の発想や解決手法に一貫性が生まれ、実行に繋がっていきます。従ってデザイン思考のステップ2「問題定義」は、全体のメソッドの中でも極めて重要なステージであり、この問題の捉え方ひとつでプロジェクトの成否が左右されると言っても過言ではありません。

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デザイン思考5  STEP1「共感」

【デザイン思考の出発点】
デザイン思考における出発点は顧客です。顧客の欲求や真に解決したい問題などを理解する所からすべてが始まります。

具体的な方法は以下の3つです。
・観察する
・関わる
・没頭する

IDEO創業者の弟トム・ケリーが2002年に発行し、デザイン思考の元となった名著「発想する会社!」の中で代表的なエピソードが語られています。IDEOが独創的な会社であるという噂を聞きつけたテレビ局が出した「3日間でスーパーマーケットのカートをイノベーションしてください」という無理難題に対して立ち向かうドキュメンタリーのお話しです。

この中でチームメンバーが最初に行ったのがフィールドワークです。実際にウォルマートに行き、顧客の動きをつぶさに観察し、買い物中の顧客にヒヤリングし、自らが様々なシチュエーションで買い物に没頭することで現状を徹底的に理解し顧客に共感するのです。

ここでは決して想像や予想、判断をしてはいけません。ただ共感し、より多くの意見、体験を得る事に集中することが重要です。

【本人も気づいていない驚くべき事実】
このステップでもっとも重要な点は、「本人も気づいていない驚くべき事実や、外からは解らない潜在的な心の動き」を抽出することです。

スティーブジョブズが「人は実際に形にして見せてもらうまで、自分は何が欲しいのかわかっていない」と言っていますが、そこを解き明かし、最適なソリューション(問題解決手法)を導き出すことがイノベーションに繋がるのです。

この共感のステップでは、イノベーションの種となる隠された欲求、より良い解決策へのヒントとなる情報をいかに引き出すかが重要です。

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デザイン思考4 人間中心デザイン

【すべては顧客から始まる】
IDEO社の現CEOのティム・ブラウンは、デザイン思考についてこう述べています。

「デザインシンキングとは、イノベーションを生み出す、人を中核としたアプローチです。人々のニーズ、テクノロジーの可能性、ビジネスとしての成功をひとつに組み合わせるデザイナーの手法から導き出されたものです。」(引用元:https://www.ideo.com/jp/approach

デザイン思考では、
・人々のニーズ(有用性)
・テクノロジーの可能性(技術的実現性)
・ビジネスとしての成功(経済的持続性)
という3つの要素を一つにつなげることに主眼が置かれます。

得てして企業は、自社の築いてきた技術的優位性やノウハウを元にビジネスを展開しようとします。同時に、利益至上主義に陥り小さなニーズを置き去りにし、合理性のみで意思決定してしまいがちです。

ピータードラッカーは、「顧客の欲しいものを想像してはならない。我々は何を売りたいかではなく、顧客は何を買いたいかを考えなければならない。」と語っている通り、ビジネスの出発点は顧客でなければなりません。そして、より具体的に顧客の欲しいものにアプローチしなければいけないのです。決して、自社の技術や経済原理からスタートしてはいけないのです。

デザイン思考では、この人々のニーズ、欲求の理解からすべてをスタートします。徹底的に顧客に寄り添い、その問題の本質を掴んだうえでその解決の手段として技術面を含めた実現可能性と収益による持続性を検討しなければなりません。

こうしたアプローチを「人間中心デザイン(Human Centered Design)」と呼びます。

【人間中心デザインプロセス】
デザイン思考における人間中心デザインプロセスには、基本となる3つのステップが存在します。IDEO社では、以下のように説明しています。(引用:https://www.ideo.com/jp/approach)。

・インスピレーション:解決のヒント、課題、きっかけ、気づき
・アイディエーション:アイデアを生み出し発展させテストする
・インプリメーション:世の中に出し浸透させる
大きくはこのステップを行ったり来たりしながらイノベーションを生み出していきます。

また、それを更に細分化したのがスタンフォード大学d.schoolで行われている5つのステップです。
・共感:観察、関わり、没頭を繰り返し自らが体感
・問題定義:問題の枠組みを捉えなおし焦点を絞る
・創造:問題解決の手法を大量に生み出す
・プロトタイプ:試作によるアイデアの素早い具現化
・テスト:失敗による定義、解決手法の検証と改善

人間中心デザインでは、共感やテストのステップ通して顧客と一緒に体験し考えることが重要となってきます。また、他のメソッドと異なるのは、直線的にこの工程を進むのではなく、非連続的に反復する点です。共感からいきなりプロトタイプに辿り着くこともあれば、テストの結果から問題定義をやり直すことだってありえます。デザイン思考における基本的なフレームワークは、時系列に順序立てて進まないのが大きな特徴なのです。

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ビジョン・ウィーク

ビジョン・ウィーク

ビジョンの体現

エクストでは「ITの力で働く人を幸せにする」というビジョンの元、OKR(目標と主な成果)を定め、それを達成するために毎週1回「ビジョン・デイ」を設けてコミュニケーション強化に努めています。

また働き方への挑戦として「リモートワーク・エクスペリエンス」制度で、内勤スタッフは全員複数回テレワークを実施する取り組みを進めています。他にも「時差出勤制度」で出社時間を朝7時〜10時の間は自由に出勤できるようにしたりと、色々なことに取り組んでいます。

そして今回、会社以外の場所に全員で行って仕事を体験するという「ビジョン・ウィーク」を開催しました。行き先は「沖縄・那覇」です。当日は那覇市内のコワーキングスペースをお借りして朝から通常業務を行いました。

コワーキングスペースとは、色々な会社や個人が集まって共同で利用するワークスペースのことです。各々、好きな席に座って自分の仕事を行います。私は書きそびれていた原稿を一気に仕上げたのですが、思った以上に集中できて、今後の働き方の選択肢として良い収穫がありました。

通常業務後は、カフェの2階を借りて社内コミュニケーションツール「SONR.」の未来会議を開催。いつもと違う場所、違う雰囲気でディスカッションすることでいつもと違った発想が生まれてくればと思い開催しました。AIやVRなど、少し先の未来について話せたのが良かったです。

私は、働く人にとって「自分たちが目指しているもの」と「実際の行動」が一致しているかはとても大切なものだと考えています。その小さな取り組みの積み重ねが人のモチベーションや成長に繋がっていく、そんな気持ちで様々な制度を実験しています。

会社に行くのが楽しい!そんな会社創りがしたい

そして、今回、SONR.エンジニアの一人が北海道のニセコに移住します。この夫婦は、奥さまがデザイナーで実は元エクストの社員さんです。ご主人はエンジニアとして活躍しており、フリーランスとしてSONR.の開発に関わってもらっています。元々、ご夫婦ともにスノーボード好きでいつかニセコに移住したいという想いがあったそうで、いよいよそれが実現するという訳です。

そして、エクストのデザイナーの一人も沖縄での就業を希望しています。もちろん「ぜひ!」ということで、これから沖縄就業を実行に移していきます。そのうち、オフィスというものが本当に不要になる日が来るかもしれません。

私の理想は日本各地、好きな場所で就業できるスペースを設けることです。もちろん自宅勤務も利点はありますが、ここに来たら自分の仕事が捗る、モチベーションが上がる、メンバーとのディスカッションが気持ちいい、成長できるなど、人が集まることに対する利点もしっかりある、しかも各地に、という状態が作れたら最高です。

なんと行っても「会社にいくのが楽しい!」と思ってもらえる環境づくりをすることが重要だと感じますし、それが私の仕事だと思っています。

テレワークやコワーキングスペースなどは働き方、働く場所の一つの選択肢に過ぎません。どんなに時代が変わろうとも、マネジメントの目的である「働く人を幸せにすること」という本質は変わりません。

より良い会社創りに向けてまっすぐに取り組んでいきたいですね。