働き方改革

量と質、どちらが大事ですか?二項対立の問い

二項対立について考えよう

もし皆さんが「量と質、どちらが大事ですか?」と聞かれたらどう答えますか?こういう議論になって「質より量!」と答えた方とはあまりお会いしたことがないので、多くの場合は「量より質」と答えるのではないでしょうか?日本は品質に対するこだわりが強く、粗悪品を許さない文化がありますので、質派が多いのも頷けます。

こうした二項対立の質問の場合、印象として「どちらかを選ぶと、どちらかを失う」と考えてしまいます。例えば、量を選んだら質が下がる、質を選んだら量が減る、どちらか一方しか得られないとしたら、やっぱり質を選ぶかなという感じです。

仕事をしていると、こうした二項対立の選択を迫られることがあると思います。明確な答えはなく、どちらを選んでも道がある場合、自分の印象や感情は一旦脇において、それぞれの道のメリットやデメリットを検証することが大切です。

ここでは、量と質を対比させて考えてみましょう。

量と質についてシミュレートしてみる

今回のテーマである「量と質」を一つのビジネスシーンを元に考えてみます。

至急の依頼で、今月末までに部品1000個の発注が来ました。急いで作れば何とか間に合いますが、不良率が上がり返品が増えると予想されます。
・ある程度の返品をご了承いただいて1000個を納入するか?
・確実に納品できる数を提示して交渉を進めるか?
・まずは受注して1000個をきちんと納入する方法を考えるか?
・お断りするか?

あなたならどうしますか?

ここでの顧客の要望は「使用できる部品を1000個、至急納品して欲しい」です。つまり、質も量もスピードもどれも欠ける事なく求めています。そうなると「出来るか?出来ないか?」で決めれば良いのですが、実際の取引関係にあっては、そうも簡単に断ることも出来ず、スッパリとは意思決定できません。だからこそ多くの人が悩むことになります。

この問題からは逃れられない

今回のケースでは、質も量もスピードもどれも欠ける事なく求められる状況で、自分が普段、何を基準に意思決定するかを知る手掛かりになります。

質に重点を置く場合、おそらくお断りするケースが多くなるでしょう。不良品を納入してクレームになる事を考えると、断ることが結果的に両社にとって良い事だと考えるでしょう。

一方、決められた日に決められた量を用意するのがビジネス、それが出来ないなら無いのと同じだ!と考える人は、量を確保するための方策を考えるでしょう。不良率が増えるなら1200個納入すればちょうど1000個になって良いのでは無いか!?といった具合です。

もちろんその会社の状況や取り扱うものによって尺度は変わりますが、量と質の問題はどんな会社にも必ずあるものです。例えば教育の問題。新入社員の教育カリキュラムは、時間から考えるか?内容から考えるか?限られた資源の中で何かを行う限り、量と質の問題からは逃れられないのです。

量と質の関係について考える

では、これらを逆説的に捉えてみたいと思います。
それは
「質は何によって高まるのか?」
「量は何によって増えるのか?」
この二つの問いについて考えてみる事です。

「質は何によって高まるのか?」
私の持論は、質は量によって担保されるという事です。何かに卓越するためには、反復練習以外に道はありません。何度も何度も繰り返し、コツを掴むまでやり続ける事が質を高めるための唯一の方法です。これは絶対の法則です。1回より2回、2回より3回、経験を重ねるごとにその精度は高くなります。質は量によって生み出されるのです。

「量は何によって増えるのか?」
量を増やすためには、そのプロセスを最適化する必要があります。言い方を変えれば、プロセスの質を高める必要があるという事です。闇雲に繰り返し、手順を改善しなければアウトプットの量は思うように増えません。改善を繰り返し仕事の手順がスムーズになればムリ・ムダ・ムラがなくなり、自ずとアウトプットの量は増加します。

上の二つを見てみると、「質のために量が、量のために質が、」それぞれ必要だという事に気付きます。こう考えると、二項対立していたものが、実は相互補完の関係にある事がわかるでしょう。

物事は角度を変えれば見え方も変わってきます。もし答えのない問題にぶつかったら、ぜひ問い方を変えてみる事をお勧めします。もしかしたら、ハッとした気づきで思いもつかない結論を出しているかもしれませんね。

株式会社エクスト 代表取締役 高畑 欽哉

著者紹介

株式会社エクスト 代表取締役高畑 欽哉

「ITのチカラで働く人を幸せにする」をビジョンとし、企業の生産性向上のための「インターネット創客事業」と「社内コミュニケーションツール「SONR.(ソナー)」の提供」を行う。残業ゼロ、有給休暇100%取得を実現しながら高い生産性を上げている。電話受付なし、時差出勤制度、沖縄・北海道でのテレワークなど、新しい働き方の実践に取り組んでいる。全国各地で100講演を超えるセミナーを行い、のべ聴講者数は1万名を超える。

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