マネジメント

事前の一策、事後の百策に勝る

コロナウイルスの影響は甚大

エクストは2020年1月29日よりテレワークに移行しました。当初は混乱状態を把握するまでの数日間を予定していましたが、蓋を開けてみれば3月終盤に突入してしまいました。この2ヶ月はまさに激動といった感じです。

・人ごみに行くのを自粛
・学校が休学
・各種イベントが軒並み中止
・外国人の入国規制
・出国自粛要請
etc…

お客さまや友人の会社では、売上が9割減、材料が入ってこないので納品できず請求できない、来月販売する商品が入荷しないなど、まさに逆境前夜といった雰囲気が漂っています。

エクストでも予定していたセミナーがすべて中止、お客さまとの商談が次々にペンディング、最終決済のずれ込みなど、大きな影響を受けています。固定費の多くをサブスクリプションで賄っているお陰で何とかしのいでいますが、それが無かったらと思うとゾッとします。

経済的影響に耐えきれない企業が4月〜5月以降に続出し、市場全体に大きな影響が出始めるのではと予想しています。政府も緊急支援策を発動し、多くの企業が資金の手当をしていますが、こういった時に素早く行動するのは決まって日頃の業績の良い会社です。早めに動いた会社は、3月中頃の時点で向こう半年から1年分の資金を確保しています。

打つ手の速さと業績は連動していると感じます。

思わぬ形で働き方が変化し始めた

「経営には3つの坂がある、「上り坂、下り坂、まさか」だ」みたいな結婚式のスピーチみたいな格言がありますが、あらゆる坂に対応できるよう準備をしておく事が経営です。また準備が足らずとも、その変化に素早く対応する能力を磨く事も重要です。

今回の出来事で多くの企業が変化を余儀なくされました。3月5日の会見では、「経団連の会員企業を対象にした調査でテレワークは7割以上、時差出勤については9割以上が実施、または実施予定だ」と回答している通り、企業側も大きなアクションを強いられた形になっています。なかなか進まなかった働き方改革がウイルスによって急激に進展するというのも皮肉な話です。

またパーソル綜合研究所が行なった全国2万人規模の緊急調査によると、正社員のテレワーク実施率は13.2%、その内47.8%の人が今回初めて実施したと回答したそうです。同時に希望しているができていない人の割合は33.7%もおり、その理由として、1位「テレワーク制度が整備されていない」41.1%、2位「テレワークを行える業務ではない」39.5%、3位「テレワークのためのICT環境が整備されていない」17.5%が上位になったそうです。

(出展)新型コロナによるテレワークへの影響について、全国2万人規模の緊急調査結果を発表。急増するテレワーク。正社員の13.2%(推計360万人)がテレワークを実施

https://rc.persol-group.co.jp/news/202003230001.html

事前の一策、事後の百策に勝る

経営における意思決定には二つの側面があります。

一つは、計画に基づく意思決定。自社の目的、目標達成のために今何をすべきかをあらかじめ決定しておくことです。当然ながら予測されるリスクに対する備えもその一つです。東日本大震災を教訓として多くの製造業が部品の製造立地を1箇所に集約しない方針を打ち出していますし、牛丼の吉野家ではBSE問題でアメリカ産牛肉の輸入がストップした時には、すでにそれを想定してメニュー開発や豚肉その他の食材の仕入れ先をあらかじめ選定していたと言います。またリーマンショックを体験した経営者は、こうした事態のために内部留保の蓄積や資金調達の余力を常に温存しています。常にそうした情報を集めているからこそ、人より早く情報が入り、人より早く動く事ができるのです。

もう一つは、臨機応変な意思決定。状況に合わせてベストな選択をその都度チョイスします。勘と経験と度胸、いわゆるKKDと言われますが、長年の経験により培ってきたKKDはバカにできません。これまで体験したことのない事態に対応するためにはこうした意思決定はとても重要です。

問題なのは、じっくり検討が必要な事案に対しても深く考えずに臨機応変な意思決定をしてしまうことです。こうした思いつき経営が成功する確率は少ないでしょう。

もっとも重要なことは成功の確率を高めることです。数多の打ち手から最適な選択を行うことは非常に難しいことですが、それでも事前、事前に思考を巡らすのです。日々のその思考の積み重ねがいざという時の臨機応変で適切な意思決定につながっていくのです。

事前の一策、事後の百策に勝るとはこのことです。

経営の現場において「想定していなかった」は通じません。それほどに現実はシビアで厳しいものです。経営者が守るべき多くのモノのために日々、思考を深めなければいけません。 今回の影響がいつまで続くか解りませんが、この時に何を考え、何を行なっておくかが今後の分かれ道になります。頑張りましょう。

株式会社エクスト 代表取締役 高畑 欽哉

著者紹介

株式会社エクスト 代表取締役高畑 欽哉

「ITのチカラで働く人を幸せにする」をビジョンとし、企業の生産性向上のための「インターネット創客事業」と「社内コミュニケーションツール「SONR.(ソナー)」の提供」を行う。残業ゼロ、有給休暇100%取得を実現しながら高い生産性を上げている。電話受付なし、時差出勤制度、沖縄・北海道でのテレワークなど、新しい働き方の実践に取り組んでいる。全国各地で100講演を超えるセミナーを行い、のべ聴講者数は1万名を超える。

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