「道」 松下幸之助

エクストのニュースレター「EXTIMES」の第8回目の社長コラムをご紹介。2011年12月のコラムです。

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早いもので、今年も残りわずかとなりました。

今年一年を振り返る上で、3月11日に起きた東日本大震災を忘れることはできないでしょう。残された私たちは、授かった命を、自分自身の人生を如何にして生きるかを改めて考えさせられます。

今回のコラムは私が落ち込んだ時に決まって思い出すこの詩をご紹介して一年の感謝と御礼のご挨拶にかえさせて頂きます。

ありがとうございました。来年もエクストをよろしくお願いいたします。
 
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「道」 松下幸之助 

自分には自分に与えられた道がある。天与の尊い道がある。

どんな道かは知らないが、ほかの人には歩めない。

自分だけしか歩めない、二度と歩めぬかけがえのないこの道。

広い時もある。せまい時もある。のぼりもあればくだりもある。

坦々とした時もあれば、かきわけかきわけ汗する時もある。

この道が果たしてよいのか悪いのか、思案にあまる時もあろう。

なぐさめを求めたくなる時もあろう。

しかし、所詮はこの道しかないのではないか。

あきらめろと言うのではない。

いま立っているこの道、いま歩んでいるこの道、

ともかくもこの道を休まず歩むことである。

自分だけしか歩めない大事な道ではないか。

自分だけに与えられているかけがえのないこの道ではないか。

他人の道に心をうばわれ、思案にくれて立ちすくんでいても、

道はすこしもひらけない。

道をひらくためには、まず歩まねばならぬ。

心を定め、懸命に歩まねばならぬ。

それがたとえ遠い道のように思えても、

休まず歩む姿からは必ず新たな道がひらけてくる。

深い喜びも生まれてくる。

劇的な場面

エクストのニュースレター「EXTIMES」の第5回目の社長コラムをご紹介。2011年6月のコラムです。

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皆さんは『劇的な場面』に遭遇したことがありますか?

私が体験したのは高校3年生の時。夏の甲子園県予選でその場面は訪れました。

優勝候補だった我が野球部はあろうことか1回戦で「9回ツーアウトナンラーなしの2点差」まで追い込まれ、まさに絶体絶命のピンチを迎えました。

その後、1点差に詰め寄りランナー二人を置いて4番まで打順が回りました。

そして初球をフルスイング!

打球は弾丸ライナーでレフトスタンドに。逆転サヨナラスリーランホームラン!

まさに『劇的な場面』でした。

こうした「起こりそうもない事」「想像もしない事」が起こると人は感情を刺激されます。

そこまでは行かなくても、お客さまや仲間の心に残るような仕事を心掛けることはとても大切です。

もっと喜んでもらおう、期待を超えるものを提供してみよう、そう考えて仕事をすれば必ず良い成果に結びつくものです。

そうして得た成果によって最後に笑い一番感動するのは自分自身です。

写真は逆転サヨナラホームランの直後。写真上部から自分が打ったかのようにガッツポーズで走ってきているのがランナーコーチだった私(^^)。

製造業の海外進出

香港、中国深川に行ってまいりました。

現地では、エクストのお客さまでもあり、古くから何かとお世話になっている三輝ブラストの佐藤社長の工場を視察し、今後の海外戦略などについて、100名を超える経営者の皆さまと一緒に学んできました。

深川工場

成長著しい中国ですが、上海などの都市部と違い、深川はまだまだ発展途上の雰囲気を醸し出していました。現地の平均的な月収は日本円で3万円程度。

そうした方を100名雇用したとすると、月の人件費は300万円。日本で働くパートさんの平均月収を仮に20万円とした場合、15名で同じ作業をこなさなければ同じ生産性を達成できない。

この数字だけ見ても、日本で生産することが難しくなっている現状が浮き彫りになる。加えて税制面の優遇や進出国の顧客に対する納入輸送費の軽減、スピード化など、海外進出によるメリットは計り知れない。

反面、文化の違いによるマネジメントの難しさや治安、対象顧客の撤退や合併などによりたちまち苦境に立たされるリスクも存在する。

しかし、国内の大手企業が生産拠点を海外に置く限り、そこに対して部品を納入している企業においては、海外に進出するかしないかという選択肢はもはや残されていない。まさに、出来る方法を考えて手を打つ以外に方法はないのである。

そうすると国内に残る製造業の多くは、多品種、小ロット、スペシャルニッチ、量産不可技術、国内需要に限定された生産物など、一部の業態に限られることになる。

ここに来て、世界の工場と言われた中国も少しずつ陰りが見え始めている。最近では、フィリピンやタイ、ベトナムといった国に進出するという話をよく耳にするようになった。

「栄枯盛衰」というが、いつまでも成長し続ける国も会社も存在しない。

そう考えると、ゴーイングコンサーン(永続企業体)であり続けるためには、成長とは異なるベクトルで経営戦略を練る必要があると気付かされる。

そのひとつの方向性として、危機や変化に強くなる社風作りをしていかなければならないと痛感する。

深川の町並み

伝説のスピーチ スティーブ・ジョブズ

昨年、プレゼンテーション大会に出場した時に、題材として選んだのがスティーブ・ジョブズでした。

大学生時代からiPhone4を発売するくらいまでを調査しながら、これというエピソードをピックアップし自分なりにまとめたものをプレゼンさせて頂きました。お陰様で優勝しました(^^)。

その中でもっとも印象に残ったのが、スタンフォード大学の卒業式でのスピーチでした。

今では、各地で講演させて頂いた最後に紹介するほど大切な教訓となっています。

もう2度とそのプレゼンを見ることは出来ませんが、 初めてこのスピーチを聞いた時の心にジーンと響く気持ちは忘れることはないでしょう。

ありがとう。

オンリーワン経営の落とし穴

経営は高度化の一途を辿っている。その要因は間違いなく「競争の激化」である。競争の激化が起こると、商品サービスや経営品質の差が勝負の決め手となり、その勝者の品質が顧客のスタンダードになる。極端な売り手市場にでもならない限り、このサイクルは繰り返され激しい淘汰が続いていくことになる。かくして企業は生き残るために、学習し、トレーニングし、より高度な理論やスキルを武器に戦うのである。

その中で生み出された概念が、戦いのない(少ない)分野で生き延びるブルーオーシャン戦略やニッチな分野で局地戦を繰り広げるランチェスターの弱者の戦略などである。これらの中核にあるのが「オンリーワン」、すなわち商品サービスの異質化である。自社独自の技術やノウハウを駆使して、競合他社がマネのできない商品サービスを生み出し、ニッチなマーケットで圧倒的なシェアを獲得するのである。

大きなマーケットでは、商品サービスは標準化され、最後はアイデアと価格の勝負になり消耗戦になるが、オンリーワンの商品サービスは大衆化されにくく、ニッチなマーケットで強い力を持つようになる。

ところが、このオンリーワン経営には意外な落とし穴が存在していたのだ。

先日、ある経営セミナーにおいて、自動車関連の製造業に携わる社長様の講演を聞かせていただいた。東北大震災が発生した際、部品の供給が寸断されたため製造ラインがストップするという自体が様々な産業を横断して起こった。これを受けて各メーカーは、特殊な技能を持った企業に偏った発注をしないように方針を打ち出し初めているそうだ。その部品がなければ製造が出来ないという商品は、設計を変更してでも複数の企業に分離発注できる体制を作り上げる。つまり、長い年月を重ねて苦労の末に開発したオンリーワン技術は採用されないという事態になりかねないのだ。もし本当にその考え方が一般化されるならば、製造業は製造拠点を分散や技術の開示、メーカーへの技術売却を行わなければならない。それでも分離発注により売上減少は免れない。

一方、今まで競争から外れていた企業には、分離発注の恩恵が巡ってくる可能性もある。メーカー側からすれば、安定した製品の供給が出来ればこそ、流通、小売り、そして消費者の便益になり、ひいては国への貢献にもなると言えるかもしれない。

であるにしても、これからますます世界と激しく戦って行かなければならない状況の中で、オンリーワンの技術・ノウハウの保護と強化は重要なポイントのひとつである。企業は常に新たなオンリーワンを模索し続けなければならない。そしてそのベクトルは優れた商品サービスによる顧客満足に向わなければならない。それが全ての企業の使命であり宿命である。