働き方改革

多能工型人材と専門特化型人材

多能工型人材の重要度が増している

最近、多能工型人材の重要性を唱える記事をよく見かけるようになりました。人材不足が顕著になってきた現在、複数の技能を持った人材へのニーズは非常に高いと言えます。

例えば、工事現場などにおいて、異なる技能を持った職人さんを良いタイミングで複数手配するのがとても難しくなっています。そのような中、一人の職人さんが2〜3工程を一人でこなしてくれるとしたら、それは大きなアドバンテージになるでしょう。建築業に限らず、キッチンとホール、美容師とアイリスト、デザイナーとコーダー、営業とディレクターなどなど、隣り合った職域をこなせる人材は今後ますます貴重な存在になるでしょう。

しかしどうでしょう?あなたの周りにそんなマルチな才能を発揮する人はどれくらいいるでしょうか?そして、あなた自身はそんなマルチな才能を発揮できているでしょうか?

現実問題として、業務に耐えうるマルチな能力を身につけるには多くの時間と適性が必要になります。技能の習熟度は反復することによって上がります。一つの技能を極めるだけでも大変な中で多能工を育てるのは至難の技です。

専門特化型人材を見直してみよう

反面、細分化が進む分野も存在します。もっとも顕著な分野は「セールス&マーケティング」です。元々、日本には「営業」しかありませんでした。営業パーソンが、見込みの発掘から顧客の育成、クロージング、導入支援、サポート、クレーム対応と、一人の顧客に対してマンツーマンで対応するのが当たり前の時代が長くありました。まさに究極の多能工と言えます。

しかし、マーケティングという概念が日本に入ってきたことで、営業部に加えてマーケティング部が普及してきました。実際のマーケティング部の役割は、広報に偏っていると感じますが、それでもようやく細分化が始まったきっかけとなりました。

そして現在は、インサイドセールス、フィールドセールス、マーケティング、カスタマーサクセスなどなど、様々な形で進化が始まっています。そこには各セクションの専門家が存在し、分業体制で成果を上げて行くのです。

例えばインサイドセールスが見込み客の発掘と顧客の育成、アポイントなどを担当し、ホットになった顧客をセールス部門に受け渡すといったことが多くの企業で行われています。

他にもエンジニアリングの世界も細分化が加速しています。特にアプリが普及してからは、デザイナーとエンジニアの橋渡し役として、フロントエンドエンジニアという職種が生まれました。橋渡し役といってもその業務範囲は広く、ユーザーがいかに良好にそのサービスを利用できるかをデザイン面、機能面、技術面を踏まえた上で構築を進めるとても重要なポジションです。

ある一方で人口減に伴って多能工化が進み、ある一方で専門特化型が進むという状況を見ると、人がどこに流れているかがよく見えてきます。言い方を変えれば、今は細分化が進む業界も、いずれは多能工が貴重になる時がくると言えます。時代の流れを感じずにはいられませんね。

そこで忘れてはいけないことがあります。優秀な多能工は、一つの領域を卓越するまで深めていることです。何かの分野でコツを掴んだ人は、その経験をテコにして別の分野でもその才能を発揮することが多いと感じます。

今目の前の業務で一人前と認められることが次のステップへの一番の近道ではないでしょうか?

株式会社エクスト 代表取締役 高畑 欽哉

著者紹介

株式会社エクスト 代表取締役高畑 欽哉

「ITのチカラで働く人を幸せにする」をビジョンとし、企業の生産性向上のための「インターネット創客事業」と「社内コミュニケーションツール「SONR.(ソナー)」の提供」を行う。残業ゼロ、有給休暇100%取得を実現しながら高い生産性を上げている。電話受付なし、時差出勤制度、沖縄・北海道でのテレワークなど、新しい働き方の実践に取り組んでいる。全国各地で100講演を超えるセミナーを行い、のべ聴講者数は1万名を超える。

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