私がまったく持ち合わせていない感性を持つあるお客さまがいる。この社長は、韓国から優秀なソフトを探してきては提携を結び日本語版に置き換えるビジネスや、中国への商品販売のパイプ役を担ったりと、様々なビジネスに血気盛んに取り組んでいる。

話を聞いていると、視野の違いと言うか、根本の感覚に大きな差があることを感じてしまう。ビジネスに対するというか、育んできたそもそもの出発点が違うのではないかと思うし、そのチャレンジ精神にいつも尊敬の念を抱いている。

私が創業前や創業時に叩き込まれたのは、「本業に徹しろ」という、日本では定番とも言えるひとつの価値観だ。以前、ディベートを勉強したときの論題(テーマ)は「中小企業は異業種に参入すべきである」であり、その賛否を両方の立場から検証した。結果的に、この問いには明確な答えはなく、「本業に徹する」という価値観が大きく変化するきっかけにもなった。自社が本来持つ強みを他の業種に転用することが出来るなら、それが人から異業種と言われようが別にかまわない訳で、そうした成功事例は山ほどある。

そもそも「業種」という言葉は、「事業・営業の種類(大辞林 第二版)」という何とも大雑把な括りでしかなく、同業種と異業種には明確な定義は存在していない。飲食業が主業種といえば、寿司屋も焼肉屋も欧風レストランも全部同業種と言えるし、ノウハウや仕入れ、客層などが変われば、それはもう異業種だといえば、印刷屋さんがWEB業界に進出するのはすでに異業種参入だ。

私がエクストを立ち上げる際、経営の師匠に相談したところ、「小売店でパソコン売ってるんだろ?じゃあ異業種じゃないよ。思い切ってやりなさい。」と言われて拍子抜けしたことを思い出す。またPCソフトを販売しているある社長からは、「高畑さんは柔らかいもの売った方が良いと思うよ!」と、業種うんぬんとはまったく異なる観点からアドバイスをいただいたりもした。

同業種、異業種という括りは、人によって如何様にも定義できる訳だ。しかし、まったく脈絡のない商品サービスを取り扱うことは非常に大きなリスクを伴うことも理解している。ポイントは、「顧客が交わるか?」「商品サービスが交わるか?」「ノウハウは交わるか?」この3つの問いの答えが「いずれもNO!」であれば、一般的に参入すべきでない異業種と捕らえて良いと考えられる。

固定観念の枠を出て、大きなシナジーを生み出す可能性を捨ててはならない。企業は常にイノベーションの種を探し続けなければならない。


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