経営は高度化の一途を辿っている。その要因は間違いなく「競争の激化」である。競争の激化が起こると、商品サービスや経営品質の差が勝負の決め手となり、その勝者の品質が顧客のスタンダードになる。極端な売り手市場にでもならない限り、このサイクルは繰り返され激しい淘汰が続いていくことになる。かくして企業は生き残るために、学習し、トレーニングし、より高度な理論やスキルを武器に戦うのである。

その中で生み出された概念が、戦いのない(少ない)分野で生き延びるブルーオーシャン戦略やニッチな分野で局地戦を繰り広げるランチェスターの弱者の戦略などである。これらの中核にあるのが「オンリーワン」、すなわち商品サービスの異質化である。自社独自の技術やノウハウを駆使して、競合他社がマネのできない商品サービスを生み出し、ニッチなマーケットで圧倒的なシェアを獲得するのである。

大きなマーケットでは、商品サービスは標準化され、最後はアイデアと価格の勝負になり消耗戦になるが、オンリーワンの商品サービスは大衆化されにくく、ニッチなマーケットで強い力を持つようになる。

ところが、このオンリーワン経営には意外な落とし穴が存在していたのだ。

先日、ある経営セミナーにおいて、自動車関連の製造業に携わる社長様の講演を聞かせていただいた。東北大震災が発生した際、部品の供給が寸断されたため製造ラインがストップするという自体が様々な産業を横断して起こった。これを受けて各メーカーは、特殊な技能を持った企業に偏った発注をしないように方針を打ち出し初めているそうだ。その部品がなければ製造が出来ないという商品は、設計を変更してでも複数の企業に分離発注できる体制を作り上げる。つまり、長い年月を重ねて苦労の末に開発したオンリーワン技術は採用されないという事態になりかねないのだ。もし本当にその考え方が一般化されるならば、製造業は製造拠点を分散や技術の開示、メーカーへの技術売却を行わなければならない。それでも分離発注により売上減少は免れない。

一方、今まで競争から外れていた企業には、分離発注の恩恵が巡ってくる可能性もある。メーカー側からすれば、安定した製品の供給が出来ればこそ、流通、小売り、そして消費者の便益になり、ひいては国への貢献にもなると言えるかもしれない。

であるにしても、これからますます世界と激しく戦って行かなければならない状況の中で、オンリーワンの技術・ノウハウの保護と強化は重要なポイントのひとつである。企業は常に新たなオンリーワンを模索し続けなければならない。そしてそのベクトルは優れた商品サービスによる顧客満足に向わなければならない。それが全ての企業の使命であり宿命である。


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