教育学者のローレンス・J・ピーターが、「ピーターの法則」というもの提唱した。

働く人々は、与えられたポジションで能力を発揮することによって評価され出世する。これを繰り返すうちにやがて能力の限界に達する。そのことにより、自らの限界を超える職位において成果を出すことができず、有能であった社員も無能な管理職となる。結果として、階層化組織は、無能な上司によって埋め尽くされ、仕事は有能な部下によって遂行されるようになるというもの。この説は非常に納得性が高く、ほぼ全ての組織において当てはまるのではないかと考えられる。

この法則に対して、ピータードラッカーは真っ向から反論している。この法則は人の成長や特性を考慮していないというものだ。新たな業務に取り掛かるにあたって、それを完璧にこなせることはまずない。人は失敗によって成長するものであり、そうした経験の上に積み上げられたものがスキルなのだ。例え今、その職位に対して無能であろうとも、いずれ有能な人材に成長する可能性を否定することはできない。つまりピーターの法則を証明するためには、人間の成長には限界があるということを証明しなければならないのだ。

また、仕事は簡単な仕事から難しい仕事へと流れていく訳ではない。ある人にとって、難しいことでも、ある人にとっては簡単であるというのは良くあることだ。

成功した人の話では、会社を追われた人が独立して成功したなど、無能というレッテルを張られた人が、ある特性の発揮により重大な功績を残したという事例は事欠かない。重要なことは、与えようと思う職位において、求める成果や求める能力をいかに明確に定義し、その達成のためにどのようなフォローをするのかということ。つまりは、組織が求める能力に従って上へ上へと向かう組織ではなく、社員さんの能力の発揮の可能性を横へ横へと広げる組織が望ましいといえる。

二人の論は、理想と現実の狭間でせめぎ合っていると感じる。

組織の長たるものは、その組織の向かうべき方向について、明確な方針を指し示さなければならない。考えることはまだまだ多い。


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