ある古本屋で1992年に発行された「お客様創造主義―着眼と戦略」というマーケティングの書籍を目にし、なんとなく興味を惹かれその場で購入した。バブルが崩壊して間もなく、まさに混沌としていた時代。当然のことながらまだインターネットはなく、Windows95さえ発売されていない時代。

書籍には、経済不況を背景に「低価格が付加価値を生む」と随所に書かれている。また「企業のダウンサイジング」や「よりパーソナルな提案」、「エコロジー」など、現在では当たり前となっている時代の流れが既に紐解かれていた。

その後、インターネットが誕生した事でこれらの論は加速度的に進行し、すでに次の時代に突入しているのが現状ではないだろうか?企業はダウンサイジングではなくM&Aや業務提携が一般化し一強多弱の様相であるし、モバイル市場でもiPhoneが一人勝ち、日の丸家電が墜落寸前の中、家電量販店はインバウンドの大量買い収益で食いつないでいる。果たして次なる時代はどのようなモノになるのか数歩先さえも見通せない時代と言える。

これらの事象は、少子高齢化による先行き不安、国内需要の停滞、顧客の多様化や求めるサービスレベルの高度化などがその一因と言える。こうした難しい時代を生き残るために、改めてマーケティングの観点から自社を見直してみたい。

ピータードラッカーは、マーケティングの意義について「販売を無くする事」と説いている。こちらから売り込まなくても売れていく仕組みを創る事と言い換える事ができる。つまりマーケティングとは「お客さまの方から買いたいと言わせるためのすべての活動」の事である。2015年現在において、それをもっとも上手に行っているのがAppleやディズニーリゾートといった企業であることは言うまでもない。

さてそのマーケティングのフレームワークの中で有名なのが、ジェローム・マッカーシーが説いた「マーケティングの4P」がある。これを発展させたのがコトラーである。同氏は「プロフェッショナル・サービス・マーケティング」という書籍の中で新たに4つのPを加えた8Pを唱えたのだ。付加価値、ソフトの時代と言われるが、こうしたサービス業特有のマーケティング要素は、その他の業種業態にも大きな影響を与えている。

・Product    商品、品質、特徴、ブランド、保証、返品など
・Price     価格、割引制度、支払方法、回収期間など
・Promotion   広告、パブリシティ、販売促進、人的販売など
・Place        立地、チャネル、ターゲット市場など
・Physical  Evidence   ユニフォーム、デザイン、空間、においなど
・Process      提供方法、フローなど
・People      人的サービス、従業員など
・productivity and quality 生産性とサービス品質の両立

このひとつひとつにおいて自社と競合他社を比較してみると、自社の本当の強みや弱みが浮き彫りになってくる。大切なことは、これらの要素が重なり合った結果、お客さまがのどから手が出るほど欲しくなる価値提供に至ることだ。

同時にお客さまの変化にいち早く気付くことが必要である。時代の流れと共に、顧客はどんどん優良なサービスに触れ、それをひとつの経験として自分の中でサービスの基準を高めていく。昨日、レストランで受けたサービスに感動した顧客は、今日、スーパーで受ける普通のサービスでは感動できない。

そうした変化にいち早く対応しなければ企業が生き残ることはできない。栄枯盛衰と言われるように今日栄えている会社もいつか必ず衰退する。しかし逆のパターンはほとんどない。この厳しい競争社会において衰退は敗北を意味する。自らを否定し、自らの力で進化し続けなければ未来は訪れないのである。


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