階層型組織には例外なく4つの視点が存在する。それらは交わることがなく、時にはせめぎ合い、時には相乗効果をもたらしながらその組織と共存する。

その4つの視点とは、
1、社長的視点・・・重要な決断を行う意思決定者としての視点
2、幹部的視点・・・決定事項の推進役としての管理者の視点
3、社員的視点・・・現場の最適化を主として考える現場の視点
4、経営的視点・・・全体的、論理的、客観的な思考による視点
である。

上記の4つは、それぞれが現在置かれた環境やその時々の立場によって作られるものであり、各自のスキルや経験はほとんど機能しない。つまり、たとえ百戦錬磨の社長であろうとも、ひとたび一般社員になれば、社員的視点で物事を見るようになるという事である。異業種交流会などに行けば、全員がどこかの会社の社長、幹部なのに、その組織でのポジションによって一般社員や中間管理職の視点になっているのを見ればそれが良くわかる。

逆に、一般社員が社長になったならば、それまでの事は無かったかのように社長的視点で物事を見るようになる。後者については、ほとんどの社長が社員、幹部を経験して社長になったにも関わらず、社長になった途端に部下の価値観が理解できなくなる事例は事欠かない。

このように、人間は環境の生き物である事が解る。それ故に、今の自分にとっての最良を求めるという事になんら不思議はないし、それそのものに何ら問題はない。むしろその視点の差が組織の秩序を保っているといっても過言ではない。この事実を受け止めた上で4つ目の視点に話題を移したい。

経営的視点とは、前述した通り、「全体的、論理的、客観的な思考による視点」である。言い換えれば、「部分最適ではなく、数値や証拠を元に第3者として冷静に物事を判断する視点」と言える。つまり、部分ではなく全体、自己ではなく他己、願望ではなく現実に従って物事を見るという事である。

他の視点は決して交わることができないが、この経営的視点だけは誰もが持つことができる唯一の視点であり、立場を超えて共有化できる価値観なのである。

ではどうすれば経営的視点を社内に浸透させることが出来るのだろうか?

それは、「目的・目標の明確化と共有化」と「モチベーションの向上と維持」、そして「情報の共有化」である。理念、ビジョン、使命、方針などの明文化はまさにその第一歩であり、組織の意識をいかに遠くに向けるかが大切と言える。

目の前の事に囚われるのではなく、理想やビジョン、ミッションといった遠くのものに目を向ける事が「全体的、論理的、客観的な思考による視点」に近づく最も有効な方法なのである。

その為にトップは十分な経営知識を組織に与えなければならない。社内外における重要な情報を社内に共有しなければならない。同時に自ら学ぶ自立した組織を創らなければならない。

その為には、まずトップ自らが学ばなければならない。トップ自らが経営的視点を獲得しなければならない。それなくして、幹部や社員が経営的視点を持つことなどありえない。まさに組織の成果はリーダーで決まると言えるのである。

(2015.7.2 リライト)


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