働き方改革

AIが創り出すもう一つの波

【AIの驚くべき進化】
囲碁の世界チャンピオンを破った「AlphaGo」の話題が世界中の注目を集めました。AIがついにここまで発達したのかという驚きと人間の認識が追いつけないほどの進化に一種の恐怖、危機感を覚えた人も多かったのではないでしょうか?

ところがこのお話には続きがあります。

その後、「AlphaGo」は新しいアルゴリズムを採用し「AlphaGo 0(ゼロ)」として生まれ変わりました。そして、この新旧対決が行われたのですが、その結果はなんと「100対0」で「AlphaGo 0」が勝利したというのです。

しかもこれまでのAIでは、プロ棋士による過去の対戦データを大量の学ばせた上で4000万回の自己対戦をさせたのですが、新しいAIは「ルールを教えただけ」で、その後1500万回の自己対戦を行っての勝利だったのです。

まさに専門家も驚くほどの飛躍的な進化です。そして、専門家いわく、どのようにしてそれを学んでいるかの因果関係が全く解っていないというのです。

【ビジネスとは生産性向上の歴史】
こうした技術の発達により「10年〜20年後には47%人の仕事がなくなる」という衝撃的な論文を発表したのがオックスフォード大学でAI(人工知能)などの研究を行うマイケル・A・オズボーン准教授です。

にわかに信じがたい情報ですが、振り返ってみればこれらは過去何度も繰り返されてきた出来事でもあります。例えば電話を見てみれば、昔は交換手が受けた電話をどこにかけたいかの情報を元に通信線を差し替えていました。それらはコンピューターの発達とともに淘汰され、20万人以上の雇用が失われました。あらゆる仕事は技術の発達とともにより便利に、より手軽になっていく、つまり生産性が向上する。それがビジネスの源であり人類の進化でもあったのです。

そして現在、その進化の担い手になっているのがAIなのです。

【本当の進化はIAによって行われる】
AIは多くの仕事を奪うと言われています。AIによる自動運転が広がればドライバーと名のつく職業は淘汰されるでしょう。AIロボットの発達により、交通整理やコンビニや居酒屋などの店員さんなど、様々な業界で大きな変革が起きます。その時、失われる雇用は膨大な規模になるでしょう。

しかし、AIがもたらす本当に大きな波はIAだと言われています。IA(Intelligence Augmentation)とは「知能増幅」を指します。これは、高度な技術や知識を要するものをAIの力で誰でも簡単に活用できるようにすることです。例えば手術や弁護士、熟練工の手工業、飛行機のパイロットなど、高度な仕事を素人でも扱えるようにする活用方法を見出すのです。この事で、一部の人しかできなかった職業が多くの人の仕事になる、つまり職業選択の幅が広がるという考え方です。

今後、人工知能のディープマインドは、驚くような低価格で多くの人が利用できるようになるでしょう。最先端の人工知能を多くの人が利用できるようになった時、どのような未来が訪れるのか?

ピータドラッカーの言葉がこれからの道しるべになるのではないでしょうか?
「未来を予測する最良の方法は自ら創り出す事である」

株式会社エクスト 代表取締役 高畑 欽哉

著者紹介

株式会社エクスト 代表取締役高畑 欽哉

「ITのチカラで働く人を幸せにする」をビジョンとし、企業の生産性向上のための「インターネット創客事業」と「社内コミュニケーションツール「SONR.(ソナー)」の提供」を行う。残業ゼロ、有給休暇100%取得を実現しながら高い生産性を上げている。電話受付なし、時差出勤制度、沖縄・北海道でのテレワークなど、新しい働き方の実践に取り組んでいる。全国各地で100講演を超えるセミナーを行い、のべ聴講者数は1万名を超える。

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