働き方改革

なぜこの会社で働くのか?

シリコンバレーの視察に行ってきました。そこで得た情報や感じたことを数回に分けてご紹介します。

【シリコンバレーの転職事情】
シリコンバレーでは雇用契約の段階で企業側はいつでも解雇できるオプションを提示しています。同時に、社員さんの方もいつでも辞められるオプションを持ちます。日本では考えられない仕組みですが、働く人は報酬に見合った働きを求められますし、企業側は能力に見合った待遇を用意する必要があります。こういう点で、非常にフラットな関係と言えます。

また退職時には、情報漏洩などの危険を回避するために、その日のうちに退職が行われます。従って、昨日まで取引していた担当者が今日になっていなくなっているという事が普通に起こります。また、ヘッドハントが採用の手法として確立しているので、昨日までいた社員さんが、翌日に取引先に転職しているといった例も多いようで、そういった商習慣が一般化されているシリコンバレーでは大きな問題にはならないそうです。

働く人々は、この競争の激しいシリコンバレーを生き抜くために、常にセカンドプロジェクトを持っており、自分のプライベートタイムを利用して個展を開いたり、新しい技術を取り入れるためのワークショップに参加したりと、スキルアップのための勉強を自主的に行なっています。

かといって全員が優秀かというと決してそうではありません。各々の会社で必要とするスキルと社員さんのスキルのミスマッチはどんな場所でも起こり得ます。双方が持つ退職のオプションは、そうした時にも有効に働きます。

現地の日系企業にインタビューした時に印象的だったのは、「やっぱり日本人の方が優秀でよく働きます。外国人は生産性が高く短い時間で成果を出すと思われていますが、そんなことはありません。外国人は時間になったらどんな状況でも帰ってしまいますし使えない人は山ほどいます。その点、日本人はスキルが均一でみんな勤勉です。」という一言でした。日本人が考える優秀の中には決められたことをキチンと行うことや常に平均点の仕事ができるといった集団主義が根強く残っています。日本人が持つ国民性やある種、共有化された価値観は武器にもなりますが、シリコンバレーの中では逆に異質な考え方なのかもしれません。

【シリコンバレーの中小企業で働く人の仕事観】
そんな中、現地の中小企業の方々に話を聞く機会がありました。その企業は映像制作会社で社員数はわずか8名ですがAppleやFacebook、Pixarなど、並みいる大手企業と取引がある高収益企業です。

その企業の幹部さんにお話をお伺いしました。その幹部さんは映像とは全く別の分野から転職してこの世界に入り、セールスの責任者として幹部まで登ってこられた方です。私が質問したのは「これからも転職によってキャリアップを目指していきますか?」ということでした。私は「その通り」という答えを想像していたのですが、回答は全く異なるものでした。

「人生はとても短い。だからこの会社がエンジョイできる環境であるならここに居続けますし、そうでなくなったらすぐに転職します。皆さんもそうでしょう??」

そしてこう続けました。

「それは報酬やキャリアとは無関係で、実際にこの会社に転職した時も報酬は下がりましたから。今のチームはお互いにプロ同士ですが、他人の領域も積極的に助け合います。良い仕事をするためにフォローしあうことでチームが成り立っていて尊敬できる仲間です。そんな良いチームワークを作るために食事会を開催したり、色々と工夫しながらチームビルディングをしています。今の会社は最高にエンジョイできる環境ですよ。」

このお話を聞いた時、働き方の原点に触れたような気がして鳥肌が立つほど感動しました。エンジョイできる仕事、エンジョイできる環境を自分たちの力で創り上げているその姿に見習うべきものがたくさん詰まっていました。

皆さんは仕事を楽しんでいますか?

株式会社エクスト 代表取締役 高畑 欽哉

著者紹介

株式会社エクスト 代表取締役高畑 欽哉

「ITのチカラで働く人を幸せにする」をビジョンとし、企業の生産性向上のための「インターネット創客事業」と「社内コミュニケーションツール「SONR.(ソナー)」の提供」を行う。残業ゼロ、有給休暇100%取得を実現しながら高い生産性を上げている。電話受付なし、時差出勤制度、沖縄・北海道でのテレワークなど、新しい働き方の実践に取り組んでいる。全国各地で100講演を超えるセミナーを行い、のべ聴講者数は1万名を超える。

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